チャットツールSlack(スラック)のアップデート情報に学ぶ(?)面白い障害報告書の書き方

IT業界を中心に普及しつつあるチャットツール「Slack(スラック)」。ブラウザ、Windows/Mac/Linux、スマートフォン(iPhone/Android)と様々なプラットフォームに対応していますが、アップデート情報がちょっと面白いのを知っていますか?Slackのクスっと笑えるリリースノートをまとめてみました。

エンジニアがやりたくない仕事No.1?障害報告書(バグレポート)作成

ITエンジニア・システムエンジニア(SE)・プログラマーの皆さん、障害報告書バグレポート、書いていますか?

私も以前、SIerに勤務していた頃には何度も障害報告書を作成しましたが、「対応経緯」「発生原因」「対応経緯」「暫定対応」「恒久対応」「再発防止策」そして「謝罪」など、とにかく「作文」するのが大変で、とても辛かったのを覚えています。

ところで、皆さんはスマートフォン(iPhone/Android)のアプリをアップデートする際に、バージョン情報に記載されている修正内容って読んでますか?

「そんなもの読まずにとりあえず全部アップデートする」とか、「読んでもどうせ『問題を修正しました。』ぐらいしか書いてないでしょ」という方が多いと思います。

そこで、この記事ではチャットツール「Slack(スラック)」の“ちょっと面白い”リリースノートを紹介したいと思います。

Slackの面白リリースノート①:謝罪が過剰編

謝る時には全身全霊で誠意を見せることが大切。でも、やり過ぎには注意……?

iOS 版 Slack Version 3.36
修正 : 同じカスタム絵文字を2つ続けて入力すると、1つしか表示されない事がありましたが、これを修正しました。絵文字好き代表としてあるまじき事!お恥ずかしいかぎりです…

iOS 版 Version 3.35
修正 : 一部のアプリのコンテンツを Slack で共有しようとするとクラッシュしてしまうという不具合がありました。お仕事中にイライラの原因を増やしてしまって、すみませんでした!キッチリ修正させていただきました。

iOS 版 Version 3.27
修正 : 一部のユーザーアカウントでは、チャンネルリストにプライベートチャンネルが表示されませんでした。深くお詫びいたします。プライベートといっても、プライベートすぎました。

Slackの面白リリースノート②:他人事編

悪いのは私ではありません。アプリが勝手にやったことなんです。

iOS 版 Version 3.35
修正 : スレッドを確認中にプッシュ通知を開くと、UI デザインが一部崩れるという不具合がありましたが、これを修正しました。間違い探しゲームじゃないんですから、ボタンの位置が突然変わっても面白くもなんともないですものね。

iOS 版 Version 3.30
修正 : 3D Touch を使ってチャンネルのプレビューを見る際に、キーボードが表示されてしまっていました。とても目障りなので、キーボードにはこれを止めるように注意しておきました!今後はキーボードの邪魔なしに、チャンネルリストからプレビューを表示できるようになりました。

Android 版 Version 2.51
修正 : ファイルにコメントした後すぐに別のチャンネルで共有すると、Slack がキャパオーバーで気絶する…という情けない現象が起きていましたが、これを修正しました。Slack もお正月ボケだったみたいです。

Android 版 Version 2.43.0
修正 : 「1つ購入で2つ目無料」の機能で、Android O 利用のメンバーに通知が2度届いてしまっていましたが、この問題は修正されました。どうやら、最後にもう一度念を押してお知らせしたかったようです。通知回数は、より望ましい「1回のみ」に減らされましたのでご安心ください。

Windows Phone 版 Version 2017.912.0.0
設定ページ内の「プロフィールを編集」のリンク機能が修正され、ブラウザ内で正しいページが開くようになりました。ネタばれ : もちろんその正しいページとは、プロフィール編集ページのことです。

Slackの面白リリースノート③:異世界・SF編

もしかしたらアプリには霊や妖怪が取り付いているのかも……?
それとも、アプリが人間に対して反乱を起こす前兆なのか……?

iOS 版 Version 3.34
修正 : 見えないところで悪さをしてクラッシュを起こしていたオバケを退治!「ゴーストその1: 過去に存在したボタン」 未だにひっそりメッセージを送信して、エラーを起こしていたところを捕獲 & 説得。現世への未練を断ち切り無事成仏。「ゴーストその2: 見えない壁」別のワークスペースに切り替えようとすると立ちふさがり、エラーを起こしていたぬりかべ (透明バージョン) を退治。「ゴーストその3: マイナス値」メッセージに取り付き、ありえないマイナス値を出してはクラッシュを引き起こしていたところを発見 & 除霊に成功。— こうしてアプリに、クラッシュすることのない平和が戻りました。

iOS 版 Version 3.27
修正 : ボットのアバターが表示されないことがありました。これは危険なステルス AI の反乱の兆候ではなく、ただのバグです。ボットのアバターはちゃんと表示されるようになりました。

Android 版 Version 2.50
修正 : ネットワークに接続されていない時に Bot やアプリのアイコンをタップするとクラッシュすることがありましたが、これを修正しました。「遂にロボットの反乱か!?」…と緊張が走りましたが、ただのバグでした。

Mac 版 Slack 2.7.0
ラップトップのバッテリーにとっては、まるで電気を吸い尽くすバンパイアのような Slack でしたが、もう大丈夫!ニンニクも杭も必要ありません。電気バンパイアは退治しておきました。

Slackの面白リリースノート④:勢いで誤魔化してる編

何事も勢いが肝心。勢いで押し切れば相手も何となく納得するはず!

iOS 版 Version 3.37
修正 : Bot やアプリのボタンでうまく機能しなくなった物をメンテ。きちんと動作するようになりました。ハードもソフトも (お肌も!) 日々のメンテが大切ですよね。

iOS 版 Version 3.32
修正 : iOS 9 デバイスで、メッセージ入力ボックスの下の「@」ボタンが正しくない位置に表示される問題がありましたが、これを修正しました。ササッと修正・気分もスッキリ!

Android 版 Version 2.50
修正 : オーガナイゼーション名が (約) 21文字以上の場合サインインができませんでしたが、これを修正。名前の長さがサインインの妨げになることはなくなりました!名前の長さで サベツ ダメ ゼッタイ!

Android 版 Slack 2.41.0
修正 : マジックリンクをタップしてもクラッシュが発生する危険性はなくなりました。そんなマジックなんて、お断り!ですよね。

Mac 版 Slack 3.0.2
Slack を終了する際、正常に終了する前にクラッシュしてしまっていたという不具合がありましたが、これを修正しました。最終的には同じように見えても、終了とクラッシュでは全く違いますからね。運動して2kg痩せるのと、ノロウィルスで2kg痩せるのと同じくらい (?) 違います!

Windows 版 Slack 3.0.0
解決には長い時間を要しましたが、ついに実現しました!ドラッグアンドドロップ時のリロードを100%カットしました。え?どのくらいって?そう、100%です!!なんと、まったくゼロになったのです。お待たせして申し訳ありませんでした!

Slackの面白リリースノート⑤:謙虚編

やはり謝罪をする姿勢としては謙虚さを見せることが大切。でも、よく読むと本当に謙虚なのか疑問があるかも……?

iOS 版 Version 3.31
修正 : クラッシュが続けて発生してしまう場合がありました。どうやら絵文字に問題があったようです。申し訳ありませんでした!(この反省の気持ちは絵文字で表現するのが一番かもしれませんが、今回は控えておきます。)この問題は無事修正されました。

Android 版 Slack 2.40.0
いくつかのクラッシュエラーを修正しました。量としては、多すぎず少なすぎず、ちょうど良い数の修正です。

Windows 版 Slack 3.0.0
サクサク動き、スリムになった新しいスタートアップ画面をぜひ体験してみてください!メッセージのスクロール中にも、日付がチャンネルの上部に固定されて使いやすくなりました。もしかしたら変化に気づかない人も多いかもしれません。でもなんとなく前よりもっと Slack を好きになってもらえたら…それだけで Slack エンジニアは明日もがんばれるのです。

Slackの面白リリースノート⑥:小芝居編

小芝居はバレバレでも役になりきることが大切。

Android 版 Slack Version 2.52
修正 : 選択したサイドバーテーマの色合いによっては、虫眼鏡の「検索アイコン」がかなり見えにくくなるという不具合がありました。「検索アイコンを検索ってなんでやね〜ん!」というコントがエンジニア間であった… かはわかりませんが、この問題は修正され、テーマに合わせて検索アイコンの色が変わるようになり、常に見つけやすくなりました。

iOS 版 Version 3.23.1
今週の「違いを見抜け」コンテストの受賞者の皆様おめでとうございます。当アプリの微妙な違いに気付いた皆様、お見事です!こちらからお伝えするのを忘れていたのに、アプリのアイコンのほんの僅かな変化に気付いたとは素晴らしい観察力です!コンテスト当選者にはわたしたちの心からの称賛と、その鋭い眼力を証明したという満足感が与えられます!

考察:なぜSlackのリリースノートには遊び心があるのか?

ここまで見てきたように、Slackのリリースノートは不具合のお詫びであっても遊び心が盛り沢山でした。

ところで、ビジネスツールであるSlackがこんなに面白いアップデート情報を載せているのに対して、一般に普及しているスマホアプリ(LINE・Twitter・Facebook など)のアップデート情報はつまらないものがほとんどですよね。

なぜ、このような「逆転現象」が起きるのか。

それは、アプリ利用者の「ITリテラシー」が影響しているのではないでしょうか。

Slackを使っているユーザー層はすなわち社会人であり、特にIT業界で仕事をしている人が多いと思われます。

我々IT業界の人間は、ユーザーとしてWebサービスやITシステムを使っているときにバグや障害を踏んでも、「中の人、きっと今大変なんだろうなぁ」って同情してしまうこと、ありませんか?

自分自身の経験に重ね合わせてしまい、どうしてもアプリやサービスを提供している事業者を責める気にならないんですよね。(もちろん規模や内容次第ではありますが)

だから、我々はSlackの面白い不具合報告を読んで“許せる”し、むしろその自由さが“羨ましくなる”のでしょうね。

一方、学生やIT業界以外の人にはそういう経験が無いので、「100%が当たり前」「バグなんてあり得ない」というスタンスを貫けるのではないでしょうか。
(スマホゲームのアプリストアレビューを見ると、ボロクソの書き込みがやたらと多かったりしますよね)

そんな「一般層」が利用するアプリで、遊び心のある不具合報告など出してしまったら「大炎上」しかねないので、どうしても無難な内容に落ち着いてしまうんでしょう。

まあ、Slackが「一般層」へ普及することはおそらくないと思われるので、これからも「Slackの中の人」には面白いリリースノートを期待したいですね!

※各プラットフォームのリリースノートは以下からまとめて読むことができます。

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